三上 美海

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入学式当日に部活の練習をしてたということは、上級生なんだろうな。 落ち着いた顔立ちだったけれど、そんなに大人っぽいという印象でもなかった。 さわやかな目元と薄い唇、すっきり高い鼻。 あぁ、思い出しただけでもドキドキする。 本当に、あんなにかっこいい人は生まれて初めて見た。 中学の時もイケメンと言われ、もてはやされていた男子がいたけれど、比べものにならない。 だけど、あんなに凝視してしまったのは完全に失敗。 変な女と思われただろうな。 何見てるんだよ、と嫌な気にさせたかも。 どうしよう謝りたい。 ごめんなさい、ただ眺めていただけで、深い意味はないんです。 そうだ、これからは気をつけなきゃ。 視線を察知されないように。 だって耐えられない。 もしまた、あんなふうに目が合うことになったら……うわ、やだ想像するのも無理。 たぶんその場で心臓とまる。 卒倒する。 どうかそんなことにはなりませんように。 でも時々こっそり目で追ったりするのだけは許されますように。 そんな感じで、その日はずっと、その人のことばかり考えていた。 正確にいえば、その日以来ずっと、その時のことが忘れられずにいた。 ********image=510230473.jpg
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