三上 美海

8/104
前へ
/212ページ
次へ
次の日の放課後、今日も駅まで一緒に帰らない? と笑顔のヒマちゃんに誘われた。 実は昨日も帰り道、途中の公園に寄って二人でずっとお笑いについて喋っていた。 家に着くと笑い疲れてグッタリして、他に何もできなくなるくらいに。 だからその日もそんな感じになるのかな? 勝手に予想して楽しみにしてたのに、話題はぜんぜん別方向で。 「ね、彼氏いるの?」 いきなり直球の質問をされ、取り乱す私。 「い、いない。 今は」 今は、などと付け足して答える自分が情けない。 みみっちいプライドがむなしい。 何だか余計に悲しくなる。 彼氏なんて一度もいたことないくせに。 「そっか、じゃあ一緒だね! よかった私もフリーなんだ!」 明るく堂々と言えちゃうあたり、さすが余裕。 「へぇ、意外だな」 思わず本音がこぼれていた。 だって、こんなに可愛い子だもん。 ぜったい男子から人気あるだろうし、告白だっていっぱいされてそう。 けれど予想外にもヒマちゃんは足をとめ、私の顔をのぞきこんで言った。 「ミミこそ意外! どうしてつくらないの? もったいない!」 それは思いっきりこっちのセリフですが。 ちなみに〝ミミ〟というのは私の名前。 正直いってネコみたいで嫌い。
/212ページ

最初のコメントを投稿しよう!

65人が本棚に入れています
本棚に追加