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「辛気臭ェツラしてんじゃねえや鬱陶しい」
後ろめたい気持ちは、彼女の一言で怒りに変わった。
コップの水を飲み下して、睨む。
「あなたには関係無いです」
「だッたらオレの居ねえ所でうだうだやってろよ。茶がまずくならァ」
キッチンのカウンターで行儀悪く座っている彼女は、こちらを見もせず湯のみ片手にチラシを眺めている。
冷たい水で落ち着きかけた熱が、また沸く。
そこに居るから腹が立つのだ。そう自分に言い聞かせ、コップを空けると、早々にキッチンを出る。
「洗えコラ!」
返事なんかしない。
倒れ込もうとしたソファーには、主が居た。
泰然と見られれば、たちまちその白灰の視線に洗われるようだ。自分を取り戻したようで、今日の全てが遠い出来事に変わる。
何とか倒れるのを思い止まり、空気が抜けるように隣に座った。
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