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   夕暮れの、図書館への道をあるく。  出かけようという気持ちになるまで、随分と、時間がかかった。  踏み出したのは、もうじき、長い旅行から宙が帰ってくると聞いたからだ。  宙は優しいから、きっと何か気が付く。心配をかけるわけにはいかない。  しかし、行くと言えば主に止められた。  数日寝込んだ後だったせいか、最後には付いて来るとまで言われたが、何とか断った。  たしかに、その言葉に甘えそうにはなった。主が居れば、何も恐くは無い。  知らないものに戸惑うことも、何が起こるか分からず不安になることも、恐ろしい事件へ巻き込まれることも、きっと無い。  けれど、星野に会うことは、恐ろしい事なのだろうか。  友人だと、勝手に思っているだけなのに。  本を、読みに行くだけなのに。  
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