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図書館を出てからは足が重くなり、橋を渡った辺りで、木に寄り掛かった。
まぶしい。賑やかな虫の音が、絶え間無く降っている。頭の中がまとまらない。前回のように走ったわけでもないのに、息が切れる。ものがよく見えない。
身体に力も入らず、ずるずると座り込む。
星野は、何を聞いて欲しかったんだろう。
ぼんやりと考えるが、すぐにほどけて消える。
冷たいそよ風が心地好い。
目を上げようとすると、ぐらりと体が傾いた。
「行くなと言っただろう」
主の声が聞こえるようだ。何もかも崩れきったような身体は、それが幻聴か現実かも分からない。
冷たいものが、頬に触れた気がした。
なぜと思うことも無く、僕は意識を手放した。
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