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手持ち無沙汰にテキストばかり読み返し、よく解らないなりに新聞も見はじめた。
「お前ソレまだ見てんのか」
今日も、しびれを切らして急かされるから、渋々尋ねてみる。
「……これは、読めますか?」
「ゆくえふめい?ぜんしょう?それともサギか?どっちにしろ勉強しろバーカ」
だから尋きたくないのだ。
確かに彼女はよく文字を知っている。
かといって、口の悪い者に教わる気にはならない。
彼女はすぐ機嫌を損ね、元々悪い目つきを更に尖らせて人を睨み、態度は悪く声は低く乱暴で、誰にも従わない。
積極的に関わりたくは無いし、そもそも女性なのだろうかという事までよぎる。
新聞を押しやり、立ち上がる。
「……あなたには聞きません」
話す相手はこれだし、主も昼間はほとんど留守だ。
だから、宙に教わった事を忘れないためにも、何か読んでいたかった。
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