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「どうかした?」
龍司は突然歩みを止めた藍子を見下ろすと、不思議そうに訊いた。
「いえ、あの……」
藍子は心の中で、どうしよう……と悩んでいた。
めぐみの友達の心の中の声の感じだと、今はただ、目元と口元を布か何かで塞がれて床に座らされているだけのようだった。
すぐにビルに飛び込んでいけば、めぐみの友達を無事に助けることができるだろう。
でも、めぐみの友達は声を上げることも物音を立てることもできない状態だ。
まさかこのビルの二階に女の子が監禁されているなんて、龍司はもちろん誰も気付くわけがない。
めぐみの友達が監禁されていることがわかるのは、他人の心の中の声が聞こえる自分だけだ。
早く助けないとめぐみの友達が危ない。めぐみの友達を監禁した人間が近くにいるかもしれないから、男の龍司にも来てもらった方が良いだろう。
でも、めぐみの友達が監禁されていることを龍司に教えたら、心の中の声が聞こえる体質がバレてしまう……。
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