ペンギンの世界

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「ぼくたちのせかいはひろいよ。てれびのなかのせかいもひろい。てんとにでたりはいったりすればかんたんにいききできる。せかいがつながったみたい」(我にとって自然とは広く狭い世界である。広い空間の中にはテレビの中に渦巻いているような複雑性はなく、大河のような大きな流れがある。経験的に我はその中で生きる術を知っている。それは人工物の中にはない世界である。人工物の世界は情報に偏っている。我らの世界は経験に偏っている。我らは偏りの中にいる。いまや我はバイカル湖に居て、バイカル湖の外の世界を知ることが出来る。ゆえに我は思う、テントは世界の偏りの境界であり、出会いであると。バベルの塔は偏りのある広く狭い世界を繋いだのやも知れぬ) 「そうか、そうだな。確かにその通りだ。面白い考察だ。お前はこの小さな頭の中に広い世界を観ているようだな」
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