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「美人じゃないよ...
それにこんなおばさんを
襲うような物好きいないわよ」
親友の欲目か、メグは私のことを
買い被りすぎだ。
私は異性からアプローチを受けたことも、ましてやお付き合いすらしたことがない。
こんな枯れた女を襲う男がどこにいるというのだ。
私はハイッと言って、
テーブルの上にコーヒーカップを二つ並べると椅子に腰をおろした。
「カヨ子はほんと人生勿体ないことしてるよね。
私がカヨ子だったら
片っ端から街のイケメン引っ掛けてるわ!
ていうか、あんたがおばさんなら
同い年の私もおばさんてことになるじゃない!!
29歳はまだまだ若いんだからね!」
メグはブツブツと口を尖らせながら
向かいの椅子に腰を掛けると
いただきますっと言って
カップに口をつけた。
「メグは可愛いよ。
私はメグみたいになりたかったな...」
メグがいるだけで、その場の雰囲気が
パッと華やぐのだ。
向日葵の花のように明るいメグは
私の自慢の親友で憧れだ。
万年引きこもりの私とは大違い...
苦笑いを浮かべる私に対して
メグは何か察したのか少し悲しい顔をして
お皿の上のクッキーを口の中に放り込んだ。
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