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私とメグは
幼稚園からの幼馴染みだ。
昔から人見知りで
絵を描くことくらいしか
取り柄のない私と違って
メグはスポーツ万能で明るく
太陽みたいな女の子だった。
私は幼稚園の休み時間は
いつも一人だった。
友達と遊ばずに
ひとり黙々と絵を描いていた。
そこにメグが声をかけてくれたことが
仲良くなったきっかけだった。
「カヨ子ちゃんて
絵がとっても上手だね」
「えっ?」
太陽のようなその明るい笑顔に
私は何も言えず
ただただびっくりして固まっていたのを今でも覚えている
「私、絵が苦手なんだよね...
カヨ子ちゃん教えて」
石のように固まったわたしなんてお構いなし
というようにめぐは毎日
話しかけてくれたっけな
そんな屈託のない笑顔で話かけてくるメグに
私は徐々に心を開いていった。
それからメグとは一緒に
絵を描くようになり
どんどん仲良くなっていったのだ。
二人でお小遣いを握りしめて画材道具を買いに行ったり、スケッチブックとお弁当を手にピクニックに出掛けたり...
あの頃は楽しかったな
きっとあの時、
メグに声をかけてもらえなかったら
私の人生はこんなに色付いたものには
ならなかっただろう。
メグは友達は多かったけど
人見知りの私は
メグが唯一の友達だった。
メグは美大に出た後は
デザイン会社に就職した。
私はというと
極度の人見知りで
初対面の人の前に出ると
緊張で頭の中が真っ白になり
手まで震えだす始末
面接なんてもってのほかだ
結局就職はせず
中学時代に亡くなった父親が
遺してくれたこのアトリエを
住居兼アトリエとして細々と生活している。
母は私が大学卒業と同時に
仕事先で出会った今の父と
再婚をした
新しい父親はとっても良い人で
三人で暮らすことも提案してくれたのだけど
極度の人見知りの私は
逃げるように家を出てしまった
ほんとに自分が情けない...
いつも気にかけてくれる
義父にも母にも申し訳なさすぎて
自分が嫌になる...
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