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手作りのポプリが職場の人に好評だったことを母に伝えようものなら、来年は倍くらいにして贈られてきそうである。
持ってきていた最後のネットを潰さないようにして手に取り、廊下に出る。
いた。
「先輩、よかったら...」
母が送ってきたポプリなんです。お風呂に入れると入浴剤みたいで...。
言い訳がましく言葉が続くのは、緊張からだけじゃない。
「.....」
いつも優しくくれるはずの返事が、返ってこないからだ。
おまけに眉を寄せて、今までに見たことのないような難しい顔をしている。
「あの、苦手な匂いなら...」
「ああ、これだね」
「はい?」
答えは返ってこない。でも、不安にならなくていいのはわかる。
だって、目を細めて微笑んでくれているから。
「これだね、環さんの匂い」
「へ?」
帰省したとき、伝えておこう。
母さんのポプリ、職場の人にすっごく喜んでもらえた、って。
だってこれ、懐かしい匂いがするから。
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