老猫は夢を見る

4/4
前へ
/4ページ
次へ
 まったく、いつの間に。  我は片目をすがめて、ゆっくり、ゆっくり、子分のもとへ行く。  くぅくぅと、寝息が聞こえる。  ぺろりと、子分の顔を舐めたが、起きる気配はない。  我は少し躊躇いつつも、子分の背中に寄りかかった。  とくとく、と生きる音。  しとしと、と。  はたはた、と。  雨の音よりずっと強く、優しい音が我を包む。  これが起きると、また追いかけられるんだが……  晩ご飯までは、もう少し。   もう少しだけこの音を聞いていよう、と我はゆっくりと目を閉じた。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加