2 琉加

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「氷咲くんみたいに うちを贔屓にしてくれてるしさ、22金だから、って思って買い取ったんだけど なんか流しづらいんだよね。 誰かが お守りにしてた訳じゃない? それを買う人は なかなかいないだろうしさ。 まあ、溶かすとこに流せばいいんだろうけどねぇ...」 確かになぁ。 元々 家族とかが持ってた物とかならまだしも 他人の お守りを買ったりしないよな。 「あっ、氷咲くん家ってさ、カトリックじゃなかった?」 北山くんが 空にしたグラスを持ったまま言う。 「うん。まあ主に母さんがね。オレは何もしてないけど」 「じゃあ それ、教会の神父さんに預けてもらったらいいんじゃないすか? 日本のお守りなら 神社に持って行くし」 北山くんが 沢村さんに言うと 「おっ、それがいいかも」と、沢村さんはオレを見た。 「いやさぁ、教会って行ったことないから 行きづらいんだよね。 持って行ったとしても “拾い物だけど(きん)だから買い取ったんですが”... とか言いづらいし。 氷咲くん、頼んじゃっていい?」 教会って、ジェイドにか。 全然いいけど、一応商品なのに いいのかな? その辺を聞いてみると 「これ、三万で買い取ったんだわ。 そのくらいなら どうにでもなるよ」ってことだった。 「じゃあ、氷咲くん。悪いけどお願いね。 後で手間賃プラスして仕事料振り込むよ」 沢村さんはそう言って ドアの向こうへ戻って行った。 「氷咲くん、まだ時間ある? ちょっとゲームしていかない?」 北山くんは 今日も暇なようだ。 「いいよー。何があんの?」と 二時間ほどゲームをして 店を出た。
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