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3 琉加
本屋に行って ハティから頼まれてたやつを何冊か買うと、バイクを河原に停める。
もう夕方なのに、まだ平気で暑いよなぁ。
「琉地」
名前を呼ぶと、煙が凝っていく。
それは シルバーグレーのコヨーテの形になった。
琉地。アリゾナに留学してる時に出会った
コヨーテの精霊。
たまに こいつが見える人には、狼の霊だと思われている。
まぁ尾は狐みたいだけど、顔は狼に似てるもんな。
「おまえさぁ、最近どこで遊んでんの?」
流地は くあっと でかい口開けてあくびをし
ふん、と 鼻を鳴らした。
琉地は オレが呼べば来るし、来たい時にも来る。
イタズラ好きなヤツで、洗って干したばかりの洗濯物を落として遊んだり、庭に落とし穴を掘っておいてくれやがるが、いい相棒ではある。
でも最近、よく出てるんだよな。
もともと気まぐれなヤツなんだけどさ。
友達でも出来たのかな?
それならそれでいいけど、こないだフライドチキン買って帰ったら、袋ごとくわえて持って行きやがったしなぁ。自分では食わねーくせに。
呼んでも すぐに来ない時もあるし、土の匂いをさせて葉をつけて帰って来る時もある。
琉地は河に入り、魚を追って遊び出した。
まあ、オレも こうやって用もなく呼んだりしてるけど。
たまにボールとかフライングディスクで琉地と遊んでると、周囲から見るとオレ 一人なので 変な人と思われたりする。
そういや、ボールも どっか持って行っちまったんだよな。
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