4 琉加

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「本は選んだのか?」 「おう。これと それ借りるわ」 開いていた本と テーブルに置いた本を指し示す。 「キリシタン弾圧か。魔女狩りにしてもだが ここまで残酷になれるものか と震撼するね。 だけど、人には どこかにそれが組み込まれてるんだ。僕にもね」 確かに。こういうことをしてきたのは、オレらと同じ人間なんだよな。 「こういうことを繰り返さないためには、その事実を知ることも大切なことだけど それを こうして安全な場所で論じるということには、僕は いつも違和感を感じるんだ。 それは、戦争についても同じことで 何か解決策を話し合う訳でもないなら、語り合うのもどうか と思う。 僕は、兵士の経験がないからね」 まあなぁ。意識することは大切だけど 安全な場所で、わかったような顔して話す気には なれないことだよな。 ここにいるオレは 何も痛くないんだし。 出来ることを... と考えはしても 現地でのボランティアを選ぶほど、オレは人間的に 出来ていない。 せいぜいニュースを見て 一時的に胸を痛めて 時々 募金するくらいのものだ。 時には ニュースにすら目を背ける。 小さい子が泣きながら逃げてるとこなんか とても直視出来ない。 手が伸ばせないと余計に。 手が伸ばせるとこには 行かないくせにな。
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