4 琉加

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開いていた本を閉じて、テーブルの上の本に重ねる。 「そろそろ 外に出てみるか」 二杯目の炭酸水を飲み干して ソファーから立ち上がると、また黒い長袖のシャツを着ながら ジェイドが言う。 「見てるだけで暑苦しいよなぁ。 そうだ、うちに生えてるミントやろうか? 風呂に入れたらいいみたいだぜ」 本を持って オレもテーブルから立ち上がる。 バイクの鍵をジーパンのポケットに突っ込むと 何か硬い音がした。 「僕は バスタブの湯に浸かる習慣はないよ。 ミントは紅茶に入れるために少しでいい」 「風呂に浸かるのは 日本の文化なんだぜ。 母さんも 今では入浴剤にうるさいくらいだしよ」 ポケットを漁ると、昼間金貨を換金した店で預かったやつが出てきた。 手のひらにのせると 「メダイじゃないか」とジェイドが自分の手に取る。 「これさぁ、預かってくれ って言われたんだよな。 おまえに渡してくれ って」 いきさつを話すと、ジェイドは 「そうか」と 少しの間メダイを見つめ 「持ち主に返すのが 一番だけど、探すのは難しいだろうね。とりあえず僕が預かるよ」と ポケットに入れた。
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