4 琉加

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ジェイドの家を出て、教会の前に出る。 「ハティは 呼ぶのか?」 「おう。門のとこに いなけりゃな」 けど ハティは、教会の外壁に沿って停めたバイクに寄りかかって 本を読んでいた。 「よう、ハティ。本 借りたぜ」 ハティが 満足そうに赤い手で本を受け取るのを ジェイドは 冷めた眼で見ている。 「それで、何を見るって?」 その眼のまま ジェイドが言う。 ハティには高圧的なんだよな。いつも。 うちで鉢合わせる時も めんどくさい。 いちいち こんな感じになる。 「視線の主だ」 ハティの方は たいして気にしてない。 「いつも見られている訳じゃない」 「どこで視線を感じる? 教会か?」 ハティの問いに、ジェイドは少し考えて 「墓地の周辺だ」と 答えた。
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