2 琉加

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表には 両手を拡げる聖母マリア。 その周囲に円上の文字。 裏には、十字の下にMの文字。周囲には十二の星。 ハートの形の心臓が二つ。一つには剣が刺さってる。 メッキじゃなさそうだ。 手に取ってみると、微かに何か残っているのがわかる。 なんだろ? 持ってた人の思念じゃないな。 でも、付喪(つくも)でもないし。 メダイ自身の記憶みたいなものかな? 「コーヒー 置いとくよ」 北山くんがテーブルを指してオレに言う。 ドアを開けて沢村さんにも 「コーヒー 淹れましたよー」と声を掛けている。 「ありがとう。今日 何杯目かなぁ」 沢村さんは すぐに入って来た。 今日は店が暇だったようだ。 「どう、氷咲くん」 沢村さんがオレを手招きし、北山くんが折り畳みの 椅子を用意してくれた。 メダイを そのまま持って行き 「オルゴールは問題ないっすね。 こっちは何かあるけど、何かは わからないっす」と、報告すると 沢村さんは「そっかぁ... 」と、メダイを手に取った。 「これさ、知り合いの祓い屋さんが持って来たんだよね。お祓いは済んでるらしいんだけどさ」 「えっ、祓い屋が?」 「そうなんだよー」 コーヒー 飲みながら 話を聞くと そいつは どこかでメダイを拾い 『でも人の持ち物だし』と、一応清め 『でも(きん)だし』って持ってきたらしい。 いいかげんなヤツだよなー。
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