5 琉加

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5 琉加

教会の墓地は、教会や家の裏にある。 教会の塀に沿って歩くと、キャンプ場に続く山道と、墓地に向かう細い道とに分かれていて とりあえずオレらは 墓地に入って歩き回った。 「で、なんか見られたりしてる?」 「いや、今は何もないな」 前神父の埋葬以降は まだ誰も埋葬されておらず ジェイドは週に 一度、点検のために墓地に入るけど、墓地で 必ず何かに見られるという訳でもないようだ。 30分くらい うろうろしてみた。 明るい月明かりの下の、白い大理石の平らな墓石や 十字架。時々 鳥か何かの鳴き声。 普通の無害な霊以外は 特に何もない。 オレらとは別に墓地を見渡していた ハティが 「もう 一度 墓地の外に出る」と 先に 門へ向かう。 オレとジェイドも並んで墓地の門を出ると 硬く軽い物が落ちる音がした。 なぜか ジェイドがジーパンのポケットから メダイを落とした音だった。 「あれ? おまえ 手、ジーパンに入れてなかったよな?」 ジェイドは頷き、拾ったメダイを 不思議そうに見つめる。 ハティは来た道の方... 教会の方ではなく 更に奥へ向かう道を歩き出した。 「この先って、何かあんの?」 「僕も墓地までの道しか歩いたことはない。 でも多分、行き止まりだろう。 協会からも何も聞いていない」 墓地の隣、教会から見ると墓地の更に裏には 五台くらいの車を駐車出来るようなスペースがある。 そのスペースの前までは舗装されている道路も その先は未舗装のものになり 更に先は 木々に覆われ、行き止まりになっていた。
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