2 琉加

1/4
896人が本棚に入れています
本棚に追加
/137ページ

2 琉加

氷咲(ヒサキ)くん、最近多いね。また金貨?」 「うん、そう。換金 お願いしまーす」 ごちゃごちゃいろんな会社とか事務所が入ってる 雑居ビルの 一室に来ている。 ここは、物を 即 現金にしてくれる。 かなり高価な物でも大丈夫らしい。 面倒な手続きとかも 一切ない。 仕事上、アンティークな物を扱う店に行くことがある。 人や物に残った思念のようなものが わかるので なんかヤバイもん憑いてないかとかの目利きをしに。 何件かのそういう店の 一件から、ここを紹介してもらった。 なので、時々 ここからも目利きに呼ばれる。 指輪などのアクセサリー、腕時計、絵画をはじめ 壺とか いろいろあるけど 素人目に見てもすげぇ価値なんだろうな って物から、その辺に手頃な値段で売ってそうな物まで扱ってる店だ。 店の人の何人かとは話したことあるけど、今日は 沢村さんていう人。 たぶん、27のオレより 10くらい年上。 こざっぱりとして清潔感がある人。 背の高いカウンターの椅子に座って、向こう側にいる沢村さんに金貨を渡す。 「ん? 今日のは、いつものと違うね。 ちょっと待って... あっ」 「えっ?何?」 沢村さんは ニヤッと笑った。 「これ、うちでは十五万だよ。よかったね。 氷咲くんて、小出しに持ってくるよねぇ。 ちょっと待ってね」 沢村さんは現金を数えているが、十五万? 「なぁんか、悪いことしてんじゃないのー? まあ、いいけどさぁ。 若いんだし、無茶なことしないようにね」 そんなこと言って、オレに(さつ)を渡す。 こんなに いいのかな? ハティは なんで、今日は いつもと違う金貨を渡したんだろ?
/137ページ

最初のコメントを投稿しよう!