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4.森がくれたもの
それから何日かが経ちました。
「海を見たい」
フササは言いました。
「ルカがやって来た海へ行ってみたいんだ。歩いたことはないし、根っこを抜くのは怖いけど、海を見てみたいんだ」
キツネが言いました。
「フササ、僕はそれは反対だ。ルカはそこにはいないんだよ」
フササは子供のように首を振りました。小さなフササの実が落ちました。
マントヒヒが諭すように言いました。
「フササ、あの風が吹き荒れた日を憶えているかい? ルカがやって来た前の日の夜さ。あの日、みんなが倒れて死んでいっただろう? フササ、今そうやって根っこを抜いてしまったら、君も枯れて死んでしまうんだぜ?」
フササはこくりと頷き、答えました。
「うん、いいのさ」
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