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フササは身体にいっぱいの力を込めて根っこを引き抜こうとしました。
何百年に渡って張りめぐった根っこは、そうやすやすとは抜けません。ブチリという痛々しい音が何度も森に響きます。
花たちの中には泣き始めるものもいました。
何時間が経ったでしょう。
フササは根っこを抜いて全身を地上に現しました。
無数の根っこが引きちぎられて、フササは血だらけでした。
ゆっくりゆっくりと砂浜へ向かって歩き出します。
歩いたことがないフササを動物たちが歩き方を教えながら先導しました。
よろけるフササを杉や桜、ブナの木が交互に支えてくれました。
フササは森のみんなの力を借りて、一生懸命に砂浜を目指しました。
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