撮影者

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 いつからか、僕は生物の死を撮ることが趣味の一つとなってしまった。  現在高校二年生十七歳。携帯をみるときは必ず壁際に立つ。そうしなければいつ誰に写真を覗き見られるか分からない。見られてしまえばおしまいだ。  初めに撮った写真は蜘蛛の巣にかかった蝶。その次はカマキリがハチを拘束して捕食するシーン。『虫の死』の中ではこれが一番気に入ってたりする。茎に絡まっているように見えたのが近づいてみるとカマキリに捕まっていたことに気づいたときはゾクゾクしたものだった。  虫の次は鳥。生まれたての雛の死骸やカラスの死骸の写真に紛れて猫がスズメを咥えた写真があるが、これは我ながら上手く撮れたと思う。  ところで近頃、何者かに野良猫が殺される事件が相次いで起こっているが勿論見つけ次第撮影はしている。三匹の子猫の頭が縦に裂かれた親猫の腹の中に入れられている。その隣には並べられた子猫の胴体の上に親猫の首が置かれていた。
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