2人が本棚に入れています
本棚に追加
「昔と何ら変わっちゃいねえ。店や家の配置、川や畑だって何一つあの時のまんまだ」
「辛いかい?」
僕は聞いてしまったことに罪悪感を覚える。それだけ彼の思いを知らなくてはならないという重圧がかかっていたのだろう。
「………………辛いのか、辛くないのか。二つの選択だったら辛かったに決まってる」
「ただ……俺は今の立場を気に入ってる。だからこそ今は辛くないのかもな」
「僕だったら辛くて何も出来やしないと思うよ。その点、やはり君は僕より上に行くね」
彼は彼自身の選択に悔いはなく、ひたすらに自分の生き方を尊重しているように見えた。
僕はそんな彼が羨ましくて堪らなかった。
そもそも、自分でこの選択、生き方を望んでいないためなのだろうか。
最初のコメントを投稿しよう!