205人が本棚に入れています
本棚に追加
「でも、この映像だけじゃ、犯人の人相も背格好もはっきりしないわね」
琉璃――桜井琉璃巡査部長は、額に八の字を寄せて困っている。
彼女は若いながらも、人の出入りが激しい調査室ではすでに中堅どころだ。
170センチの長身。シンプルにまとめた髪。まっすぐな姿勢で、きびきびと動く。
かっちりとしたパンツスーツ姿が、生真面目な彼女の性格を表している。だが、その服装が彼女の豊かな胸を逆に際立たせている。本人はとっては密かな悩みだ。
「元は、一つの画面が4分割されてたみたいなんです。それぞれに別の監視カメラの映像が記録されていた。4分の1サイズだから、画質が粗いんですね」
神保護巡査が、捜査資料を読みながら解説する。
神保は25歳。調査室の捜査員の中では唯一の男性だ。控え目で、いつもおどおどしている。ひょろりとした色白で、どこか中性的な容貌。
「いいから神保、もっぺん最初から。早くしろよ」
芳乃が、偉そうに年上の神保に指図する。
芳乃――小葉芳乃巡査、20歳。同時期に配属された神保とは対照的に、ガサツで無作法。
身長152センチ。やせっぽち。濃い眉にぎょろりとした目。ショートボブの髪はくせっ毛なのか、所々あらぬ方向に跳ねている。
最初のコメントを投稿しよう!