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仲良くなった後で知ったことだが、美恵の両親は折り合いが悪く、平日休日問わず些細なことでお互いを罵りあっていた。その母親のストレスのはけ口は美恵の通学班の子供たちの態度に向けられ、列を乱して私語に高じる少年少女たちの放漫に、義憤の名のもとに学校や保護者会を電話で痛烈に批判した。
初めの数週間はどうにかルーズさが解消されたものの、喉元過ぎれば熱さを忘れるでまた元の状態に戻り、美恵の母親はそれをまた目ざとく見つけて抗議する――それが他の親たちの目にモンスターペアレントとして映ったのか、美恵の母親および家庭への怒りが保護者同士の口の端に上り、その空気は当然子供たちにも伝わった。結果、美恵は孤立した。
美恵は周囲の自分を避けようとする空気や避難めいた視線の中にいるのに耐えられず、「いくら言ってもあの人たち直らないから」と何とか口実をつけ、子供たちが集まる通学時間よりも早く家を出て学校についていた。
幼い彼女を取り巻くこうした状況は、保護者側からも学校側からも黙認されていた。誰も波風を立てたくないのだ。美恵が誰かと仲良くしている姿を見たことがなかった。もしかしたら、私が美恵の最初の友達だったのかもしれなかった。
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