第一章

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沖縄に行く準備はできている。飛行機のチケットも取った。ホテルの予約もしてある。衣装も揃っているし、あとは自分が大会に挑むだけである。 今回行われる「第一回うむさんエイサー大会」はエイサーを団体で踊るのではなく、個人のエイサー技術を競うもので、表情、手の動き、足の動き、体すべてを使って如何にエイサーを愛しているかを競う大会である。長い時間踊っていなければならないので体力も必要だ。 団体で参加のエイサー大会はあるのだが、ヤクザの俺が団体でエイサー大会に参加するのは非常に無理がある。出たい。ホントは出たいと思ってきたが、この会社に就職してからはその希望は捨ててきた。 今回のエイサー大会はすべて個人戦で、音に合わせて参加者全員が決められた枠の中で踊り始め、踊っている姿を審査員が審査するスタイルだという。 全国から500人越の参加者が集まり、この人数は沖縄の人口の5倍の数である。 第1回とはいえ沖縄の文化に触れ、エイサーが踊りたい人達は、優勝できなかったとしても沖縄の伝統文化に触れたいという事で参加している人もたくさんいる。 俺はその中で、本気で優勝を目指している。
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