第一章

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そのあと、目撃者として警察署で話を聞かれたりといろいろ手続きをして自宅に帰ってから1週間後、一人暮らしをする俺のアパートに二人の男達がやってきた。 チャイムがなってインターホンを見ると、スーツを着た頭のよさそうな男2人が立っていた。 「女鹿沢亮さんのお宅でしょうか?」 「・・・・・・はい。そうですが。何か御用ですか?」 彼らは、礼儀正しく、敬語を使い、 「この度は、組長の命を救っていただきありがとうございます。わたくし、松竹会若頭補佐をしております、杉田と申します。」 「はい?何のことでしょうか?」 「ここでは何ですので、お部屋に上げて頂けませんでしょうか?」 「えっと・・・・・・」 インターホン越しに、自分たちはヤクザですと名乗ってくる男達二人を自宅に招き入れたら自分はどうなってしまうのかと不安はよぎったが、ここで部屋に上げないで追い返したとしても、後がどうなってしまうのか・・・・・・。 どっちに転んでも、ヤクザが自分のアパートの前に来ていることは事実である。 ここで追い返して、後で大学などに来られて問題になり、大学を中退することにでもなったらと思うと、部屋に招き入れる方が身のためだと判断し、 「わかりました。どうぞ」 とオートロックを解除した。 二人は部屋に上がると、名刺を取り出し再度挨拶をした。一人は若頭補佐で、もう一人はそのボディガードである。 「この度は、私どもの組長の命を救って頂き誠にありがとうございました。つきましてはお礼かたがたお願いに参りました。」 「あのぉ、話がよくわからないんですが」 「先日のダイナマイトを巻き付けた男が殺そうとしていたのが、私どもの組長でして、それを女鹿沢さんに救って頂いたのです」 ああ、それか。
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