第一章

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俺は、自分が死にたくないからそうしただけで、別に組長の命うんぬんなんてこれっぽちも考えていなかったのに、まあご丁寧にわざわざすみませんと思った。 「いやいや、別にたいしたことは」 「そこで、組長の命の恩人であるあなたに、私どもの企業に就職して頂きたいと思いましてこの度足を運んだ次第です」 えっえええええ。何それ。なんで急にそんな話になるわけ。 「イヤイヤイヤイヤ。それは、結構です。」 一流企業の就職を目指して一流大学に通っている俺が、なぜこの期に及んでヤクザの企業に就職しなくてはいけないんだ。 「あなたの事を調べさせてもらいました。一流大学の経済学部に在学されており、そろそろ就職活動をする時期ですよね」 「それはそうですけど、これから就職活動をしていく予定なので、その申し出はお断りさせて頂きます」 「そうおっしゃるとは思っていましたが、どうぞ前向きにご検討下さい。お気持ちが変わりましたら、名刺に記載されております私の携帯までご連絡ください」 そう言って帰って行った。
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