第一章

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エイサーとは本土で言う盆踊りにあたる沖縄の伝統芸能の一つで、沖縄各地域の若者達がそれぞれの型を持ち、旧盆の地域内を踊りながら練り歩くもので、一言で「エイサー」と言っても形態はいろいろである。 沖縄県中部では大太鼓、締太鼓を使った「太鼓エイサー」が最も盛んに踊られている。 しかし、俺がハマってしまったエイサーは「手もみのみのエイサー」と呼ばれ、これがエイサーの最も古い形ではないかと言われている。 一度楽しくなると、それからは泡盛の力を借りなくても、楽しく踊れるようになってきた。伝統衣装に身を包み、あの大太鼓と三線の音が聞こえてくると体が勝手に動き出すようになった。 居酒屋での夜のバイトという事もあり、時給は良かったし、まかないも美味しかった。 店長は沖縄出身の人で、体毛が濃く、いつもニコニコしていて「ナンクルナイサー」が口癖だった。 俺は勉強は嫌いではなかったが、大学に行っているよりもエイサーを踊っているときの方が、大学生活を満喫している気分でとても楽しかった。
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