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大きい手で髪を撫でられ、その温かさに頬を寄せる。
がくりと身体から力を抜くと、ようやく射精を終えた黒崎が朔の身体を抱きかかえた。
「じ、ん……」
「ベッドに運ぶだけだ。大人しくしてろ」
リビングの先にある寝室。ダブルサイズのベッドの上に優しく降ろされた。
乾いた布団の感触が気持ちいい。うっとりと目を閉じると、軽く頬を叩かれる。
「まだ寝るな。ちょっと待ってろ」
黒崎が寝室を出たかと思うと、すぐに戻ってきた。
その手にはミネラルウォーターのペットボトルとピルケース。
「飲め。どうせ客にゴムを着けさせる余裕も無かっただろ?」
避妊薬だ。
それは、必ず飲まなければいけない。でももう、指一本動かせない。
目を閉じたままうっすらと唇を開けば、呆れたように黒崎が息を吐く。
口の中に小さな錠剤を一粒入れられた。すぐに熱い唇が覆いかぶさってくる。口移しでミネラルウォーターを流し込まれ、朔は最後の力を振り絞って飲み込んだ。
「ごめ、なさ……い」
「いい。寝ろ」
低くて優しい声に甘えて、朔は意識を手放した。
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