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 夢を見た。  高校の教室。窓から見下ろすグラウンド。サッカーボールを追いかけ走る姿。  ふと、彼が教室を見上げた。窓越しに視線が合う。  照れたように片手を上げて合図をする彼に向かって、自分も顔を赤くしながら小さく笑う。  幸せだ。まだ、幸せだと思えたあの頃。  一筋の涙が流れて、ぼんやりと目を開けた。 「もう起きたのか?」  黒崎が朔の身体を抱きしめるように隣に居た。温かい手に涙を拭われるが、黒崎は泣いていたことには触れない。 「……どれくらい、経った?」 「三時間だ。まだ眠れるか?」 「たぶん」  身体に力が入らず頭が重い。この状態なら、もう少しは眠れるはずだ。 「なら寝ろ」  眠れる時に寝ておけと、大きな手で瞼を塞がれる。 「明日、出勤できない」 「だろうな」 「明後日も、怪しい」 「無理する必要はない」  身体の限界を超えるまで性行為に没頭した後の全身疲労と筋肉痛。本当に、発情なんかするものじゃない。 「オプション5万って、俺にとっては安すぎるよ。その後、3日はまともに動けないのに……」 「でも、眠れるだろ」 「……せいぜい1日保つかどうかだよ。割に合わない」  朔は大きく息を吐いた。     
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