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「梅干しのおにぎりと……プリン」
「……分かった」
表情を変えることなく言って、黒崎は控え室から出て行った。
薬を飲まない日は、プリンを食べたくなる。本当に食べたいのはコンビニで売ってるようなプリンではなく、母が作ってくれていた甘さ控えめで少し固めの蒸しプリンなのだが、それはもう一生食べられないと分かっている。
それでも休薬日にプリンを食べるのは、ルナなりの母への謝罪だ。
再びソファーに寝転び、ルナは自身が身につけている首輪を引っ張る。軽い特殊な金属で出来ているそれは、鍵なしでは外れることはない。鍵は黒崎が管理している。理性をなくした時、自分で鍵を持っていては自ら外してしまう可能性があるからだ。
(発情期のΩなんか、ただのサルだ)
そう自嘲しながら、ルナは読みかけの本を開いた。
スタッフ名、ルナ。本名、月岡朔。
職業、Ω風俗店ネコスタッフ。
バース性、特殊Ω。
それが、今の自分の全てだ。
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