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「そこでだ。
司書さんと交渉の末、本の整理を手伝ったら書庫を使用していいように許可をもらった。
……どうだ?」
野島はいまだにこっちを見ない。
いや、視線があったりしたら大変困るので、その方がいい。
「……乗る」
ぽつりと呟いて視線を落とした先には「あなたが好き」なんて文章があって、妙に意識してしまう。
「ん、じゃあそういうことで」
野島はまた、黙って本を読みだした。
私も黙って本を読む。
こうして雨の日問題は解決し、梅雨のあいだずっと、野島と一緒に書庫で過ごした。
そして梅雨が明けると――。
【終】
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