しあわせの匂い

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もちろん当然でしょ?という感じで小首をかしげる朝陽。 冗談じゃない。 新婚生活を幼なじみに妨害されるわけにはいかない。 「……おまえには遠慮とか配慮とかいう概念はないの?」 「ん、必要なくない?」 「これだから無職の自由人は困るんだよ……」 「無職言うな!ちゃんと不動産投資で稼いでまーす。高等遊民と言いたまえ」 「定職についてないんだから無職だろ」 「ひどい!アルバイトもやってるよ?あ、でも、さすがに引っ越しのバイトはもう無理かな~」 今日、限界を感じたんだよねー。 明日絶対筋肉痛。もう年だね。 のんきに世間話をしながら、冷蔵庫を漁る朝陽。 買い置きの栄養ドリンクを発掘すると、清斗の許可を得ず、勝手に飲み干す。 まあこれが、僕たちの関係だ。 いちいち怒ってたら、きりがない。 「なんで僕の家の風呂にこだわるんだ?」 「えっとね。お風呂入るのは好きなんだけど、風呂掃除が面倒くさい」 「人間として鍛え直したほうがいいな」 「あと、今、浴槽を物置にしちゃってるから、お湯が張れない」 「アホか!」 「うん!ありがとう!」 「褒めてない!!」 ピピッ、ピピッ。 お風呂が沸いた機械音が鳴る。 「あ、沸いた!じゃ、お風呂入ってきまーす!」 まったく、嵐のようなやつ。 さすが、あのおばさんの遺伝子を受け継いでるだけあるよ。
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