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「!!!」
森田君は強い口調で言い切った。
(非道い)
確かに森田君を好きだったことは事実だ――事実だったけれど、それを何故、今、この場所で、森田君が言うのか。
「騙してるだなんて……」
(本当に非道い)
悔しくて涙が零れてくる。
けれど林田は少しも動じることなく、ふっと口元を緩めた。
「そんなの知ってる」
「なっ!」
虚をつかれた森田君が大きな声を上げる。林田は私に視線を向けてきた。
「毎日見てるんだぜ。自分が好きな奴のこと、分からない訳ねぇだろ?」
そう言ってニヤリと口角を持ち上げた。私は涙の止まらない泣き笑いでその顔を見つめ返す。
「……かじゃないの」
(林田のくせに)
何でも分かってるような顔をして。
私は手の甲で涙を拭う。
「馬鹿じゃねぇよ」
林田はへへへと笑って、鼻の下を擦った。
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