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(森田君に同情することなんて出来ない。けれど……)
正直に気持ちを打ち明けた彼はエライと思う。林田は森田君の正面に屈み込んだ。
「悪い。俺は森田の気持ちには応えられない」
誰に対しても優しく響く林田の声に、森田君はひくっとしゃくり上げ、雨に濡れるレンズを林田に向ける。
「だけど……」
ゆっくりと持ち上げられた林田の右手が、森田君の頭の上に乗せられた。
(ああ……)
「俺を好きになってくれて、ありがとう」
その言葉は手のひらから森田君の頭の中に直接染み込んでいくように見えた。
(……魔法だ)
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
魔法を掛けられた森田君の咆哮が夜の駐車場に溶けていく。
雨はしばらく止みそうになかった。
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