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「んふ。格好良い人、連・れ・て・き・て」
「全然期待してないくせによく言うわ」
私はパタンと扉を閉める。夏場みたいな汗をかく時期は別だけど、深雪みたいに毎回メイクを直したりはしない派だ。
「だって。独身男なんて燃えないじゃない」
「それ、燃えるとか燃えないとか以前の問題よ」
「そうかしら?」
ふふふと笑う深雪に苦笑しながら、一緒にロッカールームを後にした。事務所内はすでに三分の二の席が埋まっている。
「「おはようございます」」
「あ、木下さん、ちょっとお願いしたいんだけど」
自席に着く前に隣の三課の中嶋さんに呼び止められた。
「はい? なんでしょう?」
「この間の申請書なんだけど……」
深雪と別れて中嶋さんの席に向かう。いつもと同じ一日が始まった。
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