春待ちの木々

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 女子二人でこそこそと話をしていると、正面に座った生田さんが話に入ってきた。短めの黒髪で、大きな丸い目と大きな口をしていた。格好良いというよりは可愛い印象の人だ。 「んふふ。そうです」  深雪が笑顔を向ける。生田さんは「参ったな」と呟いて顎を掻いた。生田さんの隣に座る田所さんも前のめりに参加してくる。 「もう? 早くない?」 「第一印象って大事ですよ」  田所さんは金色に近い明るめの茶髪に切れ長の一重をしていた。浅黒く日焼けした肌は何かスポーツでもやっているのかもしれないけれど、どうしてもチャラく見えてしまう。だから第一印象はイマイチ。 「お二人とも若そうだなって話をしていたところです」 「そう? 深雪ちゃんたちの方が若いでしょ?」 「えっと……って、聞き方が自然ですねー。うっかり応えるところでしたよ」  四人揃って笑う。
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