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彼女の友人数人が、以前在学中世話を焼いていた僕の元へ相談に来るのはまぁ必然であろう
断れない性格の僕もそのまま首を縦に振ったため、今こうして彼女の家の前に来ている
しかし、あの子はどこか不思議な子だったと記憶している
健康体で行動派、その癖やる気はあまりない
体は至って強く、暇さえあれば何処かへと
しかしそれはなにか目的を持ったものではなく、放浪癖と言ってもいいものだった
だからこそ彼女に対する人間はほぼ居なかった、ただでさえ忙しい業務に面倒事を増やそうと思う奇特な教師は他に居なかった
だから僕に白羽の矢がたった
あとは簡単、僕は彼女と接し、彼女は僕に心を多少は開いてくれた
少なくとも、他の教師達よりは
さて、二年振りの再開
親御さんは連日遅くまで仕事らしく今は居ない、電話越しの連絡には真摯に対応してくれたあたり幾ばくかの信頼はあるのだろう
でなければ年頃の娘しかいない家に元担任とはいえ男があがることを良しとしないはずだ
意を決してインターホンを鳴らす
どこにでもある普通のインターホン、それが一つ音を鳴らす
静寂、家に人気がないがまず凡そ外に出ている訳では無いので恐らく寝ているのだろう
そう思いどれくらい待つかと思案していると、不意に玄関の扉が開いた
「……………………」
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