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最高の警戒心を携えた彼女、『直隠水紋(ヒタカクシミナモ)』がそろりと顔を出していた
「やぁ……久し振りだね」
「……あ、センセ」
「親御さんから話は聞いてるかな、あがっても大丈夫かい?」
「いいよ、どぞ」
長く長く伸びた黒髪を無造作に垂らした彼女は、こちらの顔をマジマジと見つつ扉を開き僕を迎えてきた
二年の間に子供っぽさは消え、化粧しなくとも整った顔はより端正なものになっていた
眠そうな目は恐らく徹夜でゲームをしていたのだろう、彼女ならそうするはずだ
家の中は昼過ぎということもあり明るいかと思ったが、思いの外暗い
カーテンは閉められ、電灯も点いていない
仄暗い階段を上がり右手すぐにある部屋へと通された、彼女の部屋だ
中は乱雑に物が散らばり、パソコンのモニターが煌々と光っている以外の光源がなかった
「相変わらずだね、ある意味安心したよ」
「人間そんなにすぐ変わるものじゃないでしょ?センセ」
「はは……ぐうの音も出ない」
「で?どしたの、急に来て」
部屋に入り辛うじてあるスペースに座る、彼女も定位置なのであろうクッションの上に腰を下ろした
その疑問も至極当然である
「君の中学時代の知り合い、何人か居ただろう?その子達が君がニートになったままで顔も見せないから見てきてくれないかと頼まれてね」
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