サンキチ~既知外者(きちがいしゃ)の流儀~

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「なんなの?あの人。」 「ヤバいよ、やりすぎだよ。」 「誰か通報を」 俺を讃える声ではない。非難、怖れ。警戒…ついでに携帯の静かなシャッター音。 “化け物ナウ”ってか?勝手にほざけ、アホ共が。 お前等には絶対できない事をやっただけの話だ。それに“報酬”はもうもらっている。 いつもながらの展開に、肩をすくめるしかない俺は、先程の自身が飛んできた場所を見た。 ワインをくれた女性が俺に少し微笑み、頷く。上出来! 「あの…」 涙ながらの声に振り向くと、被害に遭った女性が、先程の恐怖に震えながらも お礼を言おうとしている。更に上出来!! (いい、いい。もう充分だからよ…ねっ!) 手で示し、頭を上下に振る。女性も頷き、先程の中年二人が素早くフォローに回った。 時を同じくして、駅に止まるアナウンスが流れ、ドアが開く。 もう一度ワインの女性を見て、瓶を翳してみせる。これで終着駅までは乗れない… 降り立つホームで慰め代わりにワインの栓を抜く。一杯口へ流し込んだ後、 立て続けに煽った。その勢いで改札をすっ飛ばし (堂々としすぎて、駅員がポカンと口を開けたが、気にしない) 慣れぬ町の繁華街に躍り出る。 時刻は深夜。人通りは皆無だが、点在する居酒屋の明かりが気持ちを和ませてくれた。 さて、今夜は何処で寝るか… ワインを飲みつつ進む俺は、前から歩いてくる少女の姿を認めた。 ピッタリと着こなした制服に穏やかな、見てるこっちが ウキウキしてくるような笑顔を浮かべている… と“常人”なら、そう思うだろう。だが、俺は残念ながら“枠外の無法者” 彼女が全身に纏う“腐臭”と、こっちにまで影響受けそうな“嫌な感じ”を ビンビン感じる始末。酒でほろ酔いの良い夜が…ここでも台無しだ。
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