サンキチ~既知外者(きちがいしゃ)の流儀~

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「ねぇねぇ、見た?あやかの友喰い!凄かったよぉ~!」 お昼前の休憩時間に、まるで“有名俳優”を街で見かけたように話す友人を “佐々木しずか”(ささき しずか)は軽蔑に近い眼差しで見つめる。 友人が操作するスマホには、テーブルに載せられたしずかの友人、いや親友と言っていい、柏葉あやかの亡骸が映っている。そして、動画に現れたのは、最早、クラス内でも 見知った…いや、崇拝されていると言っていい人物だ。 そいつはお決まりの文句を歌いながら、ナイフとフォークを駆使して、あたしの親友を… 「止めて!」 本能的に友人のスマホを叩き落としていた。教室の床に転がり、部品を盛大にバラ撒かす。 「ちょっとぉ~、しずか、アンタ、可笑しいよ~?」 派手な声を上げながら、友人が床に屈みこむ。 (可笑しい?可笑しいのは皆でしょ?友達が殺されて、食べられたんだよ。 ネットや報道じゃあ、本人の同意を得たなんて言ってるけど、犯罪だよ? 何で誰も、おかしいって思わないの?言わないの?) しずかが中国の時、外国のテロリストが捕まえた日本人の首を斬る動画を、 世界中に配信した。その時だってクラスの皆は、 「うわぁ、最悪~」 とか、 「グロぉぉ~」 なんて言って、はしゃいでいた。所詮、自分に被害が来なければ、何でもいいのだ。 世間がこれに注目し、祭り上げるのも“そこ”にあるのだろう。 小学生の時に知り合い、高校まで一緒に通ってきたあやかの顔が浮かぶ。お葬式は 今日の夜だ。クラスの皆は彼女の両親に何て言うのだろう? 「一番好きな友達に愛されて、一番綺麗な時に食べられた、あやかは幸せだと思います。」
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