2 決意の確認 後編

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「んー…この勝負……切の勝ちッ!!」 「よしっ!!」 神鳥 切はガッツポーズを決めた。 狙い通りに、意を決した行動が成功したことが嬉しかったのだ。 「クソォォォォオッ!ちょー悔し?ッ!」 悔しさのあまり大声を張り上げる千場 流。 そこに余裕そうに言葉をかけた。 「残念だったな。有言実行とはこの事だ。これで13戦8勝で4連勝。圧倒的になったな。」 余裕そうに振る舞うが、内心スタイルチェンジは一か八かの瀬戸際だった。 思い切った行動が実ったものの、緊張感は今も取れない。そして、自分の震える手を見て思う。 『あの感覚は何だったんだ?』 神鳥 切は何かを掴みかけた感覚を今は思い出すことが出来なかった。疑問に思ったが、そこで、須堂 恵に言葉をかけられた。 「とか言いながらあそこでのスタイルチェンジは実際一か八かだったんだろう?」 「…。」 須堂 恵に図星を見透かされていた。 「いや!そんなことは…」と思ったが、やはり須堂 恵だけはいつも侮れない。 2人の勝負は12戦の神鳥 切が5勝7敗、追いついては離され、また追いついては離されの繰り返しである。須堂 恵の作るスタイルはいつも魅力、感性、発想、技術のレベルが高い為、神鳥 切はなんとか食らいついている状態である。だからこそ自分の予想を超える発想を期待してしまう、待ち望んでしまっている…。 「はい図星。でも今回、流のスタイルはかなり魅力があって危なかったな。まぁーでも俺は何故か流には勝っちゃうからなー今の所ほとんど連勝だし。」 そう…須堂 恵は13戦10勝3敗で千場 流に対して勝率がかなり高く、作るスタイルを明確にし、しっかり作り込まないと勝てないほどこの男は強いのである…。 「うるせぇ。それ言うんじゃねぇ。」 ここ最近ずっと連敗が続く千場 流は肩を落とし、負け込みが加算でブルーの気分だった。 「そういえば何で美容師になろうと思ったかだっけ?」
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