2 決意の確認 後編

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事の発端の前に須堂 恵との会話を思い出した。 「あ、そうだ教えてよ。」 「…やっぱ秘密かなぁ。」 「え、自分で掘り起こしておいてそんなのありかよ。」 「俺も気になるから知りたいんだけど。」 須堂 恵と千場 流からブーイングが飛ぶのを切はごめんと言う顔で笑ってみせた。 そして神鳥 切はあの日を思い返す。 『あの日を忘れた事はない。いや…忘れられる事が出来るはずがない…。あの時俺は何も出来なかった。何かできる事を考えても、考えても、何もしてあげられる事が出来なかった。空っぽな自分、何かが足りない自分、その何かすらわからない自分、被害者側で何かを求めていた自分、そんな力無き自分自身が嫌いだった。いや、許せなかった。だからこそあの時来たあの美容師と名乗る人達が救いに見え、ただ髪を切るだけで、周りが笑顔に成った事に俺は憧れ、魅了され、俺にもあの手が必要だと思った。そして…あの日、あの時、あの場所で決意したあの小さな約束、少しでも…ほんの少しでも…許してほしいと言う願いも込めて…この道を歩む事を心に決めた。』 「…まぁ…でも絶対成し遂げたい目標はある。その目標を越えないと、俺がこの学園に来た意味がなくなるから。」 「なんだよ目標って?」 千場 流が言葉を掛けた。その隣に居た須堂 恵はその理由にこの時初めて気付き、それとなく察してる様であった。 そして、神鳥 切は覚悟を決めている真剣な顔つきで語った。 「俺は…バトル祭に勝ってセンシビリティに出場する。そう約束したもんな。恵。」 神鳥 切は須堂 恵の瞳をみてそう言った。 「あぁ。がんばろうな。切。」 2人は改めて目的を再認識した。 「え?そこに俺は入ってないの?」 千場 流からブーイングが飛んだ。
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