3 世の中の狭さ

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日曜日、神鳥 切は宮城県出身の為、仕送りとバイトでなんとか繋いでる。そして、バイトは一人暮らしをしている家の近くにある西荻窪駅の美容室で働いていた。 「おはようございます。今日も宜しくお願いします。」 「おぉ!いつもありがとうね!切が来てくれて結構助かってるよ!」 美容室の裏口から入った時、ここのサロン ・ド・ ドゥーエのオーナー「咲ヵ元 広幸」(サカモト ヒロユキ)が神鳥 切を出迎えた。 メガネをかけ、ふわふわの天然パーマに、ちょっと出たお腹が優しさを表してる。 見た目のまま優しい方である。 そして3年前、青梅にある河辺で美容室の店長をしていたが独立し、お店を立ち上げた人である。 「いつも勉強させて頂いて僕の方こそすごい大助かりです。本当にいつもありがとうございます。今日でシャンプーの練習卒業できると思うのでよろしくお願いします。」 神鳥 切にとってここで1番の目的は夜の練習会参加である…。知識、技術、感性、発想、まだまだたくさん吸収しなければいかない事、美容師に欠かせない事、知らない事が多いからである。 「そう言ってくれるとありがたいね。今日は頑張って!…あ、そうだ。月曜日から新人の子が入って来たから紹介しておくね……いねちゃーん!こっち来てー!」 「あ、はッーい!」 新人の女性が元気な声をあげ、美容室で使うカラーカップの洗い物を手早く済ませ、こちらへ向かう。 そしてその間に、咲ヵ元 広幸オーナーが神鳥 切に軽く耳打ちをした。 「…一応、新人の子には家庭の事情が大変なスタッフもいるからあまり自分からは話はふらないでって、言ってあるから。」 「あ、…本当にすいません。ご迷惑おかけします。」 神鳥 切は本当に申し訳なさそうに、誤ってはいたが、咲ヵ元 広幸は見逃さなかった。 一瞬だが、神鳥 切の瞳が深く、とても深く濁り、視点がどこにも合っていなかった事に。 だが、新人が来た時には神鳥 切はもう元に戻っていた。 「月曜日からお世話になりました。鷹柱 為心(タカハシ イサネ)と申します!今日からよろしくお願いします!」
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