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野菜をスプーンで追い掛けながら、凪は美味しいと笑う。
食べづらそうなのは見て明らかだ。
次はもっと細かく切ろうと反省しながらも、その優しさをありがたく受け取る。
「母さんは、ご飯を作ること自体しなかったからね」
確かに、僕も彼女の手料理を食べたことはなかった。
娘である凪の手料理は何度も口にしたのに、不思議な話だ。
しかし想像しようにも、記憶に残る彼女の姿が台所に立つ様子はあまりにちぐはぐで繋がらない。
そうだなぁ。きっと、
「まっずいんだよ」
偶然にも重なった二つの声。
ひどい言われようだなと思いながらも吹き出してしまった。ごめん、里奈さん。
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