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あの頃の二人
数日振りに家に帰ったゴハンは、心配していた飼い主と共にまた穏やかに暮らし始めた。今度はトーだと言うことは忘れなかった。
やがて、生きる誰もが経験するものが近づいてきた。ゴハンはその時を悟った。
ある春の陽の昼下がり、窓から淡い陽が差し込んでいた。柔らかな風と共に穏やかな呼び声が聞こえる。トー、おいで…。こっちだよ…。
トーは後ろを振り返らず窓からでて行く。眩しい光で包まれて、瞬きをしたら、目の前に小さな黒猫がいた。
「トー!早く!置いてくよ!」
トーは走り出した。一歩進む毎に若返って行く。軽やかな足取りはライと共に、追いかけあいじゃれあいながら空へと上っていった。
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