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「おいで、たっくん」
ママが座布団に両膝を立てて座り、両手を広げると、たっくんは嬉しそうに、甘えた表情で抱きつきました。
「ママも前はね、たっくんといっしょで、お風呂が好きじゃなかったのよ」
ママはそう言いながら、たっくんを後ろ向きにして、両膝の間にすっぽりとはまるように座らせます。
「えー!そうなのー?」
「そうよ。でも今はね、お風呂がだーいすきなの。ママがお風呂だーいすきになった理由、たっくん聞いてくれるかな?」
たっくんはママに抱きかかえられながら、「うん!」と大きく頷きます。たっくんは、ママのお話を聞くのが大好きなのです。
「ママがお風呂を好きになったきっかけはね、おばあちゃんがくれたの」
「……天国のおばあちゃん?」
「そうよ」
ふふ、と優しく笑ってから、ママはゆっくりと語り始めました。
身体を気持ちいーいリズムで、左右に揺らしながら。
たっくんも気持ちよさそうに、うっとーりとした顔で、ママの話に耳を傾けます……。
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