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たっくん、お風呂、だあいすき。
「たっくんー!お風呂の時間よ」
家族で夕食を終えて、ママの優子が台所から、おもちゃで遊ぶたっくんに声をかけています。
ママにとって、今日いちばんの正念場。
なぜならたっくんは、お風呂が大の苦手だからです。
「やーだーーー!
たっくん、いまいそがしいの。
おもちゃであそんでるから。
ぶいーーーんっ」
左手でショベルカーを動かし、右手で飛行機を持ち上げるたっくん。
パパは開いている新聞から視線をはずし、たっくんをみて「やれやれ」とため息をついています。
「忙しいっていう言葉は、どうやら俺からうつっちゃったみたいだな」
「ふふ、そうかしら」
ママは困ったように笑います。
パパが本当に忙しいのを知っているから、責めるつもりは全くないようです。
「たっくんは、どうしてお風呂が嫌いなの?」
ママの問いかけに、
「めんどうくさいから!」
と答えるたっくん。
「来年から小学生だろ?
わがまま言わないでちゃんとお風呂入んないと、みんなに嫌われちゃうぞーっ」
「きゃははははっ」
パパのこちょこちょ攻撃に、たっくんは笑いころげます。
それでも「きらわれないもん!」「お風呂、やー!」と譲らないものですから、ママもいよいよ本気になりました。
エプロンを外し、袖を捲って、たっくんの側に向かいます。
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